しかしその物体から吐き出される18面体のサイコロ(大きさは1mほど)が、こちらの戦艦や戦闘機に向かって来て、付着してシールドを破壊し、さらに内部にまで侵入して、自爆、戦闘機なら、 23個で吹っ飛んでしまうという恐ろしいものだ。

 しかしこれは武器のほんの一つに過ぎず、このアメーバもいろいろなタイプがありそれぞれが違う武器を持つので対応は不可能に近い。よくこれだけのものを考え出したものだと感心するほどだが、感心している場合ではない。その間にやられてしまう。

 以上の情報は友好関係にあるミード星人から得たのであり、直接対決はほとんど無いに等しい。私の乗っている戦闘機は20世紀の世界大戦で日本海軍の奇跡の駆逐艦「雪風」にちなんで「ゆきかぜ」と呼んでいる。戦闘機が駆逐艦の名を借りるのは変だが、形は船に近いのでこれでいいのだ。この「雪風」は第2次世界大戦で16回もの海戦に参戦しほとんど無傷で残った唯一の駆逐艦だ。さて、この我々の「ゆきかぜ」の目標は敵アメーバの殲滅(せんめつ)であり、最終的には、母艦の破壊だ。

 逆にこちらの母船が全滅ということになると、トリトン(天の川銀河の地球に相当する惑星)どころかアンドロメダ銀河全体がオバサン猿人のエサになってしまい、ここも数年で食いつくされ、次に天の川銀河がエサとなり、人類はほぼ全滅という最悪の事態となるのだ。

 我々がぶち当たったアメーバはどういうわけか静止しており、(後から考えると、数百年間、かれらは行くところ敵なしの歴史だったので、我々をバカにしていたのかも知れない。来るなら来いと言っている様子だったので、「やってやろうじゃない!」という気になり、まずユカワ号にもある、ドーナッツ弾を1発お見舞いした。

 ドーンとアメーバはバラバラになり「なんだ、全然、弱いじゃないか。」と思った瞬間、アッと言う間にもとのアメーバに戻ったので、間髪を入れず、プロトンレーザーをあびせた。これはシールドでもあるのかアメーバに届かぬ先に、明るく光るだけで効果なしだ。そうこうしていると向こうからチカチカと何やら光ったかと思うと、第1とわれわれ第3操縦室の隣の第4操縦室から、不明の物体が被弾との連絡が入る。何の衝撃もなくこちらのシールドをパスしたのか考える間もなく、補助重力装置(話すと長くなるのでやめておくがエンジンの1種)20%が被弾との通報。

 「こりゃ、まずい」と思い全主砲発射の命令を下した。これは若干の効果があり、アメーバは粉々に吹き飛んだ。「ヤッター」・・・・・と思ったら、またまた集まりはじめたので、「こりゃ、ほんまにヤバイぞ。」と冷汗が出た。隣の2人の副操縦士も心配そうに私を見る。こうなればもうヤブレカブレである。

 幸いにも、先ほど敵母船接近のほうが入っていたのと、スクリーンにはるか後方に母艦が写ってきたので、アメーバもろともやってまえのヤマト(だましい)が憤然と湧きあがり、「

方位5003、距離800キロ、集中度300、ヤマト砲全弾発射!」と命を下した瞬間、機体が分解するのではないかと思うほどの、ものすごい衝撃が10秒ほど続き、推定2万発のヤマ(てっ)(こう)弾が直径300mの範囲内で連なり、超高速で母船に突進。結果を見る間もなく、「反

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