その後、同方面近くの調査船が半年ほどの間に4隻も壊滅したため、事は重大と認識されたのだ。イタリア隊と他の4隻からのデータを総合すると、どうも直径30kmを超える母船7〜8隻からなる大艦隊がアンドロメダ銀河か天の川銀河を目指しているらしいのだ。ミード星人からの情報とあわせると戦闘隊形にまちがいない。そこで急遽(きゅうきょ)、大調査団が編成され、調査の結果、間違いなくアンドロメダ銀河を目指しているというものだった。しかも、1か月ほどで到着する可能性が大きいというものだった。

 そこで、アンドロメダ銀河方面の母船1隻、戦艦ʋ(ユープシロン)5(通称ヤマト、あの戦艦大和だ)を10隻と地球から母船11隻、戦艦約120隻、総数母船12、戦艦130の大連合艦隊が組まれた。対するオバサン猿人はわずか母船(キラキラボール)が8隻のみ。しかし、その1隻から810隻の我々の戦艦をはるかにしのぐ戦闘能力を持つ戦艦が続々と吐き出されるのは、恐怖以外のなにものでもない。

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 私が直接猿人と交戦したのは、40歳を少し過ぎたまだまだ若造の時で、戦艦直属の戦闘機Χ(キー)335(通称ブタ(まん)、なんとなく似ているからだ)のパイロットとしてである。戦闘機と言ってもゼロ戦のような小型ではなく、ジャンボ機を数倍大きくし、さらにゼロ戦の餌食(えじき)となった太っちょのグラマンをもっともっと太らせた姿を想像してもらうとよい。しかし、翼はおまけくらいのが付いているだけ。宇宙空間においては翼の必要はないのだ。本来なら巡洋艦の名称を与えてもいいくらいの大きさなのである。戦闘員がわずか5名なので戦闘機といわれているらしい。

 ほとんどが、武器、弾薬の積載に費やされており、主操縦室は意外に狭い。ほかに、副操縦室が4つもあり、メインの操縦室がやられたら、次の操縦室に移る仕組みで、少々叩かれても飛行には支障がない。装備は直径1kmほどの岩石ならば、瞬時に破壊するプロトンレーザー砲20門を主砲として、超アナログ的な武器として、戦艦大和が積んでいた46cm(てっ)(こう)弾によく似た形をした、径約3m、長さ8mほどのミサイルというかロケットというか、とてつもなく大きな弾を数千発連続発射できる副砲が5門あり、現代風でないのでヤマト・バルカン砲のあだ名がついている。中味は1発に2メガトン(広島型の100)の核爆弾が入っている。なんだかすごいようだが広い広い宇宙では1発や2発だけメガトン級を食らってもさしたる効果はない。シールドが強力なのだ。それでも、下手な鉄砲数打ちゃ当たるではないが、数当たればかなりの効果がある。主に、敵の防衛シールドを打ち破るのが目的である。その他、前後、左右、上下をさまざまな武器で武装していて、それらを2000体を超えるロボットが操作している。

 対する、人類を見下すオバサン側の母船は先ほど述べたが、母船自体の武器そのものもものすごいが、母船から続々と出てくる戦艦は、我々の考える戦艦とは全く違うもので、あえて言うならアメーバに近い。形が一定せず変幻(へんげん)自在(じざい)なので説明に困る。直径800m前後のお好み焼きになったり、2km近い扁平(へんぺい)なナンになったり、球形になったりでナンともとらえどころがないのだ。

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