エピソード 1 (宇宙旅行はロードスターに乗って 続編)

私が遭遇(そうぐう)した最も凶暴と言うか、凶悪な種族(知能、体力とも人類を圧倒していたがとても人類とは言えないので、猿人と言うことにする)は高橋さんにもお話したバーリ・オバサン星群に住む?????猿人で、例によって我々の言語では発音不可能なので、仮に、オバサン猿人(えんじん)としておこう。

 地上でも、おばさんは始末におえない人が多いが、このオバサン猿人はその比ではない。背丈は優に4mを超え、高いものは5m近くの者もいる。男女の区別はなく繁殖は有機合成に近い方法で行われるらしい。

 あえて言えば、人造人間とでも言えようが、体形は人類には程遠く、手足こそ2本ずつだが、頭は人類の10倍ほどで体とのバランスは取れている。顔はかつて地上に住んでいたサーベルタイガーの牙がない姿と言えば良いだろう。

 ただし、頭は360度回転し、悪いことに脳みそに相当する部分が人類の5倍以上もあり、その思考力は想像を絶するものがある。とは言え、頭が大きければ賢いと断言できるものでもない。夏目漱石の「坊ちゃん」だったか「猫」の中で頭の大きい生徒はバカが多いと書いてあった記憶がある。

 それはともかく、何万年も極寒(ごっかん)の地で育ったせいかマンモスのような体毛があり、全体像ははっきりしない。歩く姿勢はあえて言えば、1.5mほどの脚全体を上下に揺らしながら歩くので、見たものでないと説明するのが難しい。手足とも太くまるで、直径50cmの丸太がくっついているようだ。食い物は有機物なら何でも良く、動植物を問わず、悪いことに人間もエサになる。

 もともと、小さな球状銀河で細々と暮らしていたが、食料がなくなったために、他の銀河に乗り出したと思える。

 彼らの宇宙船、と言うか戦闘用の母船は人類の想像を超えたもので、直径30km強の球に近い形だが、近よって見ると、一辺が1kmほどの六角形で黄金をもっと明るくした金属体が全面に張りついていて、どこに推進装置があるのかわからない。まあ、バーの天井で回転している、キラキラボールを想像してもらうと、当たらずと言えども遠からずだ。

 中はほとんどが有機物製造工場つまり彼らの食料及びオバサン猿人の製造工場ではないかと予想され、話は牧歌的となる。以上の情報は友好関係にあるミード星人から得たものであり、人類で直接オバサン猿人を見たものは一人もいない。

 この宇宙船と最初に遭遇(そうぐう)したのが、我々の隣の(といっても数億光年は離れている)イタリア隊の調査船「カエサル6号」だったが、「巨大な物体に遭遇せり」と言う連絡があったきり、その後応答がなく、壊滅(かいめつ)したか、食べられてしまった可能性が高い。その時の映像がわずかではあるが残っているが、それがミード星人の情報と一致したのだ。

 イタリア隊は60人とロボット7000体ほどで構成され、戦闘力はわが「ユカワ号」つまり、「田舎(いなか)のバス」と大差ないほどの重装備なのだが、まったく歯が立たなかったらしい。今から8年前のことだ。

1

次のページ