との報告も入ってきた。母船36隻と言えば、天の川防衛軍の50%近い数だ。

とにかく、全戦場ほとんど同時に戦闘が始まり、わずか10分ほどで完敗だったということだ。そして、アンドロメダと天の川連合軍が壊滅したとき、なぜか敵の母船のキラキラ星が急遽(きゅうきょ)反転、アンドロメダから消えたということなのだ。アメーバもすべて後を追い、広大な戦場(なにしろ太陽を少し大きくした容積の範囲なのだ)は連合軍のまばらな残骸のみが残された。

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会議を中断したとき、補給に時間がかかるとのことなので、食事をしていると、呼び出しを受けた。敵が大勝利の最中、突如退却とは摩訶不思議(まかふしぎ)な現象だが、その時間が丁度、我々がアナログのヤマト弾を20000発も1か所(せいぜい径300m)に集中砲火をしたときと正確に一致したそうである。なにしろ、ヤマト弾2万発の一斉射撃は前例も実験もないし、第一、戦闘機の機体が持つかどうかの実験もしていないのだ。戦法としては考えられなかったことをしたわけだ。

また会議だったが、今度は私だけの呼び出しだった。その時の会議で我々の退却時の記録が会議室で上映され、2万発のヤマト徹甲弾が弾道に入った7〜8機のアメーバを蹴散(けち)らしキラキラ星のシールドに突入。ほとんどがそこで消耗され、(てっ)(こう)弾も尽きたかと思われた時、1000発ほどがシールド突破、次々に金白色の金属板(多分としか言えない。材料はわからないから)に集中したため、さしもの厚さ30mはあると推定される装甲板も突破、そして100発ほどが突入したらしい。ほんの10秒ほどの時間だ。何万とばらまかれた偵察衛星からの記録だ。4次元画像で克明に記録されているので、かなりのことが分かる。もちろん、戦線をスタコラ離脱した「ゆきかぜ」の映像も克明(こくめい)に捉えられていたのは皮肉というか、なんというか・・・・・。

ヤマト光弾(てっこうだん))の威力が全軍に伝えられ、母船、戦艦、特に戦闘機に急遽、徹弾を積み込むことが決まったと後で聞いたが、徹甲弾はアンドロメダには全くなく、天の川にも在庫がほとんどなく、こんな旧式な弾薬を作る製造所が多くあるわけではない。

もともと旧式の弾薬なので、今回の戦闘で積載していたのは戦闘機約15000のうち、100機にも満たず、しかも2万発も載せると戦闘機の行動力が落ち、ボテチンな動きとなるため誰も載せたがらない。2万発も積載しているのは我々の「ゆきかぜ」だけで、おかげで「ヘビー・ダンボー」なんてあだ名までいただいていた。なんでも、20世紀のディズニーと言う人が描いたアニメで、小さな象が空を飛ぶ、子供向けの物語があったようだ。

で、他の戦闘機も徹甲弾を100発、いいとこ1000発も積んでいれば上の部なのだ。そもそも、今回の危機がなければ、この数100年ほとんどいざこざがない平和な世の中だったのだからしかたのないことだ。いままで遭遇した人類に匹敵する高等動物は7つほどあるが、すべて、平和を(むね)としていたので、地球には軍隊はいらないのではないかという論もちらほら、出始めていたくらいなのだ。

そのむかし、インカ帝国という1000万人を(よう)する国家が南米に存在したが、スペインの

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