(5)  火星旅行はおままごと !

 

 さて、エメラルドグリーン嬢と別れて宇宙船に着くとまもなく、すぐ出航、いきなり時速200万パーセクの最高速にはいる。言い忘れたが、光速から50万パーセクまでと、50万パーセクを越えた場合は、時空や物質に一大変化があるそうだ。

 光速以下の世界ではわれわれ人類が築き上げてきた科学が通用するが、光速を越えるとわれわれの科学が通用しない世界がひろがり、パーセクの世界に入るとまるで想像できないこととなり、50万パーセクを越えるとわたしには何が何やらわからない世界が待っているのだ。

 一例をあげると、この宇宙船は一直線に進んでいるのであるが、その先には多くのダークマター(暗黒物質)が存在し、行く手をさえぎっている。ほとんどは小石程度から直径12キロの鉱石からなっているが、なかには地球規模の巨大な石の塊みたいなのも存在する。さらには滅多にないことだが、恒星も行く手をふさぐことがある。

 しかし50万パーセクを越える速度になると、まるで何もないかのように通過するのである。なにしろ最高速200万パーセクといえば10万光年の大きさを持つ天の川銀河を通過するのに1分もかからないのだ。

 例え、眼前に太陽の100万倍の規模の恒星があろうと、直径が100光年を越える巨大ブラックホールがあろうと、われ関せずでスイスイ通過し、まるで便秘にサラリン、サラサラリンである。

 という調子で4,5日は全て順調、異常なしであったが、やがてこの「ユカワ号」が「田舎のバス」と呼ばれている理由がわかるような事件が起こるとは・・・・・。

 それはわたしの個室で休息している時のことだ。休息といっても「毎日が日曜日」のような生活なので、休息は必要ないようだが、ロードスターやカワサキWで、世界中の名所旧跡を走りまわったり、資料室でこれから行くシルバーボールのことを勉強したりで結構忙しい。それにオチビちゃんたちの相手もしなければいけないのだ。

 さて、わたしは自分の家では電蓄があり、農家には珍しく数々のクラシックレコードを持っている。農家といっても父母が主に働き妻がそれを手伝っているので、わたしが農業をしているわけではない。

それに父母よりも少し年老いた、戦前から我が家で働いていた、もと小作人夫婦が人が()いというか、農地改革で自作農になったのにもかかわらず、自分の田畑は息子夫婦にやらせて、父に世話になったからといって、いまでもせっせと農作業を手伝ってくれているのだ。

で、それまでは家では主に、ベートーベンやモーツァルトを聞いていたが、この宇宙船のレコードコレクションは無限で、なんでもありで、いろいろな音楽が()ける。 

このところ気にいっているのが、アンドロメダに行く途中で聴いたJ.Sバッハの曲で、特にアランのアルガン協奏曲などはお気に入りだ。深々としたソファーに腰を降ろし、藤井屋のもみじまんじゅうを食べ、コクのあるコーヒーを飲みながら、前方に360度近く展開される漆黒の宇宙をながめ、ブランデンブルグ第5番第1楽章でレオンハルトによるチェンバロの独奏を聴いてうっとりしている時だった。

しだいに暗黒の宇宙が無数に輝く星々に変っていったのである。恒星がはっきり見えてきたということは宇宙船が光速以下の飛行になってきたということであろう。光速以下というと、この「ユカワ号」ではほとんど静止しているのと同じことである。

「こりゃーまずいんでは。」と思っていたら案の定、操縦室にすぐ来てくれとの連絡が入った。()けつけてみると、操縦室はてんやわんやで、いつもは5体しかいないロボットが10倍ぐらいに膨れ(ふくれ)上がって右往左往している。

船長の秀樹君が大声で様々な指示を出しており、わたしと話ができる雰囲気ではない。宇宙船の下部方向から流線型の飛行物体が次々と飛び出し前方に消えていく。その数は100を越えるだろう。

ボヤーと突っ立っていたわたしはロボットの案内で左端の高射砲のような席にすわらされ、隣の席の千手観音のようなロボットから、2〜3分ほど扱い方を教えられて、何が何だかわからないままにビーム発射レバーに手をかけた。

なんでもダークマターが接近しているらしい。とにかく画面に映る3次元の立体の物質はなんでもビーム砲で破壊すればよいのだそうで、どういうわけか、はじめて防毒マスクのようなヘルメットをかぶらされた。

高射砲室のようなところには、ロボットが3体と私を入れて4人(もう面倒なのでロボットも人として数える)が席に着き、空席が6箇所ある。よほど人手不足なのか。

とかくするうちに、何か動いているなと思っていると、なんのことはないわれわれは部屋ごと宇宙船の外に出ており、まるでB-29の射撃手の立場になっていた。 

「こりゃー、やばいぞ。」と思うまもなく、3体のロボットがシュンシュンシュンと光線銃のようなものから光を発射しはじめた。ひとつの銃座に12本の光線銃が120度ぐらいの角度で据えられていた。わたしの画面にもなにか接近するものがあるので、レバーのボタンを押そうとすると、押す前に接近物体はぱっと散ってしまった。どうも隣のロボットたちが、ダークマターを破壊してくれたようだ。そんなことが7〜8回もあったろうか。「なんだ、これならわたしは必要ないんじゃないか。」と思ったのがおおまちがい。

画面そのものは1メートルぐらいの青い球形のもので、その中に3センチぐらいの赤っぽい(たま)を侵入物体にあわせてレバーを押す単純作業なのだ。赤い球は画面に12個あったが、とてもとても。

初めのうちは片手でひとつ動かしてはダークマターを破壊していたが、慣れてくると2つの赤球を両手で動かせるようになったが、そのころは忙しいのなんの、次から次と襲いかかるダークマターを破壊した。

24の眼と12本の腕を持った千手観音君が12本のレバーを操ってダークマターを粉砕する様は、奮戦まっただなかというより、まるでダンスをしているようで、バックミュージックにハチャトリアンの「剣の舞い」でもかけたらもっと活躍してくれるかも。ほとんど芸術の域に達しているのだ。

そうこうしているうちに、画面向こうの空間に直径2,30メートルはあるだろうか、急接近したダークマターが、なんと100メートル先ほどで砕けちった。

この時すこしドスンと衝撃が走る。シールドが()いているのか。無数にぶつかってくる2,30センチほどの石ころは、衝撃は全くなくザーザーと音をたてているだけ。そのうちシールドが破壊されて削られていくのか、ダークマターの衝突が刻々接近、ついには10メートル先ほどに接近し、直径100メートルほどの石炭みたいなのがぶつかった時は思わず眼をつぶった。 

このころは全員、赤玉君を調整するのはまどろっこしいので、直接する接近物体をビーム砲で叩いていた。  

そんなこんなでがんばっている間、船長はわたしがビーム砲に着座するかしないうちに、なんと愛用のロードスターで出撃していたのだ。あとでその記録を見せてもらったが、それはそれはすさまじい光景であった。

宇宙船の主砲が時折打ち出すビームは直径100メートル、太さ2,30メートルほどの金色のドーナツのような光のかたまりを断続的に発するのだが、その破壊力はすさまじく直径10キロクラスの石のかたまりを粉々にしてしまうのだ。

その砕けちった数100メートルクラスのダークマターを船長は100機を越える防衛機と一緒になって木っ端微塵にするのであるが、目もくらむような飛行で、まるで阿修羅(あしゅら)のごとく次々と迫り来る物体を破壊し、自らも大きくゆれ、画面が上になり、下になり悪酔いしそうである。

時たま、防衛機がシールドを消耗したのか、大きな石にぶつかり、砕けちっている。船長自慢のロードスターはヘッドライトの愛くるしい目玉を開き、阿弥陀様の額から全天を照らす光宜しく、周囲を煌煌(こうこう)と照らし、ラジエーターのところから、紫色の怪光線を発して、ユカワ号に接近する異様物体を蹴散らしていた。

いかに頼りになる千手観音君が活躍しているとはいえ、われわれの射撃も、もう限界で、シールドは目の前数メートルまで後退し、「あー、もうだめだ。」と思い始めたころ、視界は星々が輝くうつくしい夜空となり、眼前にも、画面にも岩石のようなものが映らなくなった。

「おや、なんだか変だぞ。」

ズシンズシンという衝撃音もなくなったようだ。

「もしかして助かったのかも。」と思っていると、

「高橋さん、操縦室へ来てください。」との連絡が入り、われわれの射撃室はスーと船内に格納された。わたしは立ち上がったが他の千手観音さまは、席を離れず防御隊形のままである。

「やー、無事でしたか、よかったよかった。」と秀樹君は戦闘帽をかぶったまま話かけてきた。

「そちらこそ、よく無事で・・・・・。」とあとは絶句。思わずしっかりと抱きついた。船長発進の報が戦闘直前にアナウンスされていたのである。えー、秀樹君も戦闘機で出撃したのかとたいへん心配していたのだ。

「なにしろ総力戦でしたからね。高橋さんにはい一番安全なところで、がんばってもらったのですが、相当苦戦したようですね。」

「一体、何が起こったのですか。」

「くわしいことはあとでお話しましょう。戦闘ロボットが相当やられましたので・・・、失礼します。」と格納庫の方へ出て行った。

なんでも、重力波集合機のトラブルで宇宙船が急速に減速し、悪いことにランダム系ブラックベルト(複雑系暗黒物質地帯)に突入したためのようだ。 

ふつう、ダークマターは静止しているか、一定方向に移動しているものでだが、このランダム系はあらゆる方向に動きながら、移動している不思議な物質群でなんでこのような現象が起こるのかはまだ解明されていない。あらゆる方向から接近してくるダークマターは本来自動ビーム砲で破壊されるのであるが、今回は主砲以外は作動しなかったため、急遽(きゅうきょ)ロボットによる戦闘機の出動となったのだ。

わたしが担当した左翼(といってもこのユカワ号はズングリムックリの円盤に近い形をしているので、翼があるわけではない)は右翼もそうであるが、前面担当に比べると格段に接近物体が少ないのだそうで、あの忙しさで暇な場所としたら、前面担当のロボットはどんな戦闘だったのだろう。

翌日、宇宙船を一周してみたが、前面はシールドが尽きたためか、無数の穴があいており、戦闘ロボットも30体のうち20体ほどが破壊されるという惨状であった。

左翼も右翼もほとんど無傷だったが、少なくとも、わたしの担当した左翼はやばいところだったのだ。

修理(といってもほとんどは自動修復装置が作動するので、作業ロボットの出番はあまりない)に2日ほどかかったが、なんとか応急修理で再び発進。

言うまでもないことだが、どの宇宙船でも人が乗っている場合は船内は24時間単位であらゆる物が調節されており、地球にいるときとあまり違和感のない設計になっている。

修理中のため、最高速が100万パーセク強しか出せなくなっていたため、シルバーボールまで3週間もかかることになった。おかげで2週間ほどは防御ビームの発射訓練をやる羽目に、というよりも、自分で申し出て、訓練をした。先生は副船長のボブ君で、1日5時間みっちりしごかれた。

あの戦闘のときは緊急の場合だったので、千手観音用の銃座に座らされたが、人間専用のビーム砲ももちろんあり、しかもいろいろな種類の武器があった。一例をあげれば、リミットビーム砲というのがあり、これは射程500キロ以内の物なら、なんでも切断するという優れものである。これは500キロ時点でプッツリ、ビームが消えるので、ほかに害を及ぼさないというから、武器というより工事用機械といったほうがいいのかも。

要は、直径500キロ程度の巨大隕石でも好きなようにチョンぎれるというわけだ。どの武器も面白かったので、あれこれ20種類ぐらいやらせてもらったのだ。そのため結局どの武器もマスターできなかったが、操作の感だけは身についた気がする。ボブ君もお世辞だろうが、「あなたは人間としてはスジがいい。」と何度もほめてくれた。

訓練の合間に、例の千手観音君の射撃を見たがこれはもう言う言葉がなかった。360度の視界に雨のように降りかかってくる物体を、12のビーム砲で目にも止まらぬ速さで破壊する様子は、まるでフラダンスのように優雅でとても戦闘訓練とは思えない。

なんのことはない、さきの戦闘では、かれらは実力の半分しか出していなかったのだ。わたしなんかは、どんなに訓練しても戦闘に参加しないよりはまし、という程度だね。なんだか訓練するのはアホらしくなってきた。ボブ君がわたしのことをほめてくれたが、人間としてはというはずだ。

 

戦闘で  千手観音  フラダンス

 

この新俳句は解説がないとさっぱり意味が通じないだろうな。

あれやこれやで一段落して、秀樹君とのコーヒータイムではいろいろ話が出たが、かれの話ではあのダークマターは知的生命体が作りだした武器の一種で、接近する物体は全て破壊せよという命令を受けた無機物質ではないかということだった。

ということは、この近くになにか重大な秘密が隠された惑星があるのだろうと予想された。後日、調査するとは言ったが、またあんな目に遭うのはまっぴら御免である。たとえダイヤでできた星であろうと近づきたくないね。

「ところで、一体、わたしがあの戦闘で死んだら家族にはどう伝えるつもりだったのですかね。」

「今だから言いますが、実はもうあなたのコピーはとってあるのですよ。ですから金はかかりますが、寸分違わないあなたを作ったコピーを奥さんに会わせても、おそらく気づかれないでしょう。」

「えー、そうなんですか。じゃー、いまでもわたしと全く同じ人造人間を作ろうと思えば作れるわけですか。なんだかそら恐ろしいね。」

「ただ成長も老化もしないので、5年ごとぐらいに作り変える必要はありますがね。」

「ま、気味の悪い話はそのくらいにしましょう。ところで、あのような事故や戦闘はしょっちゅうあるのですか。」

「いや、ほとんどありません。わたしの勤務110年の間で、3度目ですよ。小さなトラブルは頻繁にありますがね。いままで一番激しい戦争は人類より高度なバーリ・オバサン星と戦ったときですね。このときは双方100を越える母船が戦闘を交え、負ければ人類滅亡という可能性もあった、必死の戦いでした。もう70年も昔の話です。」

「人類の敵がオバサンとは冗談みたいな星ですね、それでどうなりました。」

「日本とヨーロッパ連合のポルトガル部隊のみが生き残り、あわや全滅という時に、今度行くとき会えるかも知れないミード銀河のベータA(われわれにはかれらの発音は聞き取れないので仮につけた名称)の人々に助けられ、なんとか勝つことが出来ました。またいつの日か、オバサン星と戦う日がくるかも知れませんね。

今までに11の知的生命体に遭遇しましたが、オバサン星以外は全て平和を基本として銀河に存在していたのです。オバサンは例外だったのかも知れません。」

「人類よりも知能が高い生命体はどれ位存在するのでしょうかね。」

「さあー、われわれが本格的に銀河系飛行をするようになってまだ300年ですからね。おそらく億単位で存在するでしょう。」

「相当多いようですね。」

「いえいえ、この宇宙から見ればほとんどゼロに等しいといえるでしょう。300年で11も遭遇できたのはシルバーボールのおかげですよ。」

「資料室で調べた限りでは、このシルバーボールは誰が作ったか、いまだにわからないということですが・・・・・。」

「そー、話せば数週間はかかるでしょう。私たちもすでに300年以上、内部に入って調査していますが、わからないことだらけで、おそらく今後数万年をかけても調査終了ということにはならないでしょうね。わたしは宇宙を飛び回っていますが、ある意味ではシルバーボールに記録されていることの確認にすぎないということかも知れませんね。しかもまだボール自体が資料を収集中らしいのです。約5000万年ごとに全宇宙を一斉調査をし、記録しているらしいのです。次回は約1000万年後が調査ということらしいので、われわれ人類はまずそのときまでは存在できないでしょう。」

「それでは、そのボールの記録上では人類は存在しなかったと同じことになるのでは・・・・・。」

「その可能性は非常に大きいですね。私が今、知的生命体を求めて調査する基礎は4000万年前には知的生命体がいたと記録されている惑星が中心なのです。すでに5000以上の惑星を調査しましたが、ひとつとして知的生命体が存在している惑星はありませんでしたね。それどころか惑星自体がなくなっている場合が非常に多いのです。これはおそらく、戦争かなにかで惑星どころか恒星そのものをも消滅させたものと思われますね。」

「なんだか寒々とした話ですね。」と話しているところに、キャシーちゃんとシルビーちゃんが「シンゴ兄ちゃん、遊んでー。」とそれぞれがネコちゃんとウサちゃんをだっこして、珍入してきた。

「おやおや、ご指名じゃ、遊ばないわけにはいけないね、船長さん、失礼しますね。」

というわけでかたい話はそれまでになった。秀樹君は勤務につき、わたしは子供の遊び相手という勤務についた。この宇宙船でブラブラしているのは私だけなので、子供たちがわたしにひっつきモンチッチするのだ。

こどもロボットは男女合わせて10体ほどあるが、すべて、ナタリー、シルビー、ポール、ニールなど欧米の名が付いているので、秀樹君に聞いたところ、

「なに、わたしの好きな20世紀のポピュラーソングの歌手の名前ですよ。特に、60年代のアメリカンポップスが好きでね。」ということだった。

宇宙船やロボットの修理がようやく一段落し、ふたりの夕食が共にできたのは2日後だった。いつもならふたりとも心地よく酔うが肝臓へのダメージを与えないアンドロメダのアルコール様飲料を飲むのだが、船長、よほどストレスがたまっていたのか、わたしが庄原でいつも飲んでいるものを飲みたいというので、広島の「加茂泉」を指定した。

しかしユカワ号には登録されてなかったので、おなじく広島の「ダルマ焼酎」を注文すると、なんとあるという。わたしは飲んだことはないが、飲み友達の駐在所の警官がよく飲んでいるので頭に浮かんだのだ。

ふたりとも梅割りでスタート。なんだか悪酔いしそうだったが、秀樹君、こりゃいけるというので、レモン割り、オンザロックなど4〜5杯は飲んだろうか。私がもうやめとけと言うのに、さらにお湯割りを4〜5杯は飲んだのでは。

酔いがまわるにつれ、ふだんでも結構しゃべる船長、ますますメートルがあがってきた。船長もまったく未知のアルコールだったせいか、だんだん話があらぬ方向へいきはじめた。

「で、結局アメリカが世界史に残したものはだね・・・・・。じゅうたん爆撃とマクドナルドのハンバーガーとアメリカンポップスだけだったね。」

「なんですかね、そのマクド・・・。」とわたしも急速に酔いがまわってきたので水に切りかえた。

秀樹君は「マクドナルドといって20世紀の全世界で広まった、まー、ランチだね。これは今でも、アメリカ料理の唯一のものとして残っているのだね。これが。」

「へー、20世紀の食べ物が38世紀でもね。わたしも食べてみよう。」と思い、そばに控えていたウエートレスのコニー嬢に、

「きみ、すまんが、マクドなんとかのハンバーガーを持ってきてくれんか。」というとチーズにしますか、なんとかにしますかというので、

「とにかく、なんでもいいから一番人気のあるやつね。」

待つこと1分。なんだかいいにおいの物が皿にのせられてきた。丸いパンの間にミンチの肉がはさまっているだけのシンプルなものだ。おまけに注文もしないのにポン菓子を大きくしたようなものが付いてきた。ポップコーンと言うそうだ。

さて、そのハンバーガーだが食べてみると実にうまい。で、歯形のついたハンバーガーを見せながら、

「船長さん、船長さんこれかね、、ハンバーガーというのは。」と言うと、おー、これこれと言いながら、わたしから取り上げパクついてしまった。

「でね、アメリカのじゅうたん・・・、あれ、なんだっけ・・・、あ、そうそう、アメリカのじゅうたん爆撃というのだがね、兵士だけでなく、一般の人も一緒にだね、殺してしまうというのがアメリカの最も得意とする戦法・・・だったが、これが、これが、歴史書に・・・残されたんだよ・・・ね。」

「言われてみれば、広島、長崎・・・エーと、そうそう、東京や・・・大阪なんかもその戦法の・・・犠牲だったといえるかもね。」とわたしも呂律(ろれつ)が怪しくなってきた。

「そうー、そうー、そうなんだ。キリスト教の精神が聞いてあきれるね。キリストはなんじの敵は全て殲滅(せんめつ)せよといったのだろうね・・・・・。キリスト教・・・アメリカ派とでもいう教えなのだろうね・・・・・、そうだろうタカハシさん。」と言いながら、片手に食べかけのハンバーガーを持ったまま、テーブルに突っ伏し(つっぷし)ぐーぐー寝息をたてはじめた。

すると、赤毛のコニーちゃん心得たもので、80キロはある船長を軽々と抱え上げ(かかえあげ)、寝室へ連れて行った。男が女を抱え上げ寝室へ連れて行けば、ごく平凡な場面であるが、このように女に抱かれて運ばれるのはどうなんだろうね。わたしも寝室に入るか入らないうちにもう寝てしまった。

そんなこんなで、秀樹君の母船に着いたのだが、母船そのものは秀樹君の宇宙船を20〜30倍大きくした感じ。直径1キロの鏡もちと言えばイメージにかなり近い。

常時、500ほどの宇宙船が出入りしているそうだ。ここに1週間ほど滞在したが、この母船についてはまたの機会に述べよう。シルバーボールはここから36万光年の距離なので、明日はいよいよロードスターで行くことになった

ヒデ君、ヒデ君、じゅうたんと言えばペルシャが有名だが、

 

アメリカの  じゅうたんだけは  ごめんだね

 

かな。